映画『最高の人生の見つけ方』

いい話だが、安っぽい。

2007年アメリカ映画のリメイク。末期がんで死期が近いが、まだ動ける主人公。このまま死ぬのは、と思っているが、かといってやりたいことは特にない。しかし病院で出会った少女が持っていた死ぬまでにやりたいことリストを見つけ、それをかわりに実現しようと思い立つ。

肝は、病院で同室になった大会社の創業社長。金持ちである彼女と同行することで殆どのことが実現する。…世の中カネだ、もしくは金持ちの友人だ、という話かしらん?

映画自体は、吉永小百合ファンタジーワールド。クライマックスで家族に好きだ愛してると告白するシーンは、宗教かと思うほどの引くシーンでありヒロインの自己中心さがありあまるシーンなのだが、映画のテーマを体現する場面ではあった。死に瀕して生を改めて見つめる話であり、年を重ねたお父さんお母さんには感じるところもあるだろう。確かに良い話ではある。

ライブシーンで登場するももいろクローバーZにとっては、映画にライブの風景が収められたという点で、良いことだったと思う。この映画には同時代を記録するという側面もあり、ももクロがももクロとして登場したことには意味がある。高安やらJAXAやらサミットやら固有名詞が続々出てきたのには、そういう作品なのか、と興奮しかけたのだが、結局尻つぼみで、実名はほぼ出なくなった。まぁそりゃそうだよね、実名入れ込むのは色々難しい。

なおムロツヨシ扮する秘書がももクロのライブ時にヲタ芸を見せるのだが、これはステージにあげられて彼だけがやっているもので、ライブ会場の客がみなそういうことをやっているというような描写はなく、丁寧に切り分けられていた。ファンの一部が危惧するような不自然さ、異様さはなかった。ムロツの役自体がそういう人だと思えばそれで良い感じ。

一方で雑な箇所も。細切れにされたシークエンスをパッチワークするような構成、日本映画の悪しき習慣であるうるさいサウンドトラック、言いたいことはセリフでばっちり表現、笑えといわんばかりの宇宙遊泳シーン、という安っぽい部分に加え、雑な設定に気をとられた。

まず、吉永小百合様の設定。70歳、というのを明白に示しているので、色々引っかかってしまった。子供の年齢設定、いくつなんだろう…30代後半から40代で子供を生んでいても別におかしくはないのだが、大学卒業してすぐに結婚したという設定もあり、うーん、十何年も子供ができなかったというのか?だったらそのことが話に組み込まれてしかるべきだと思うのだが…。子供の一人が引きこもりというのも余計。見せ場があまりなく、途中の結婚式のシーンで長男出てこなかったので存在をすっかり忘れられているのかとヒヤヒヤした。

あとは、遺言となった手紙を読むシーン。何度も手紙の文字を映し出すのだが…いやそれ、直筆じゃないでしょ?映す意味、ある?自分じゃもうペンを持てないので秘書が代筆したって言ってるじゃん。なのに映し出すって、おかしくない?

ヒロインたちが行動するに至った少女に関しては良い設定だと思うが、あれは別にヒロインが意識朦朧としていて幻覚見てるとかじゃないよね?まぁそれでも別にいいんだけど。きれいな話には仕上がっていた。

ただ、この話、小百合様ファンタジーワールドとしては70歳の平凡な主婦と40代だかのやりて社長という設定で行くしかなかったのだろうけど、本来なら逆のほうが良かったのでは?70歳のやりて社長と40代だかの平凡な主婦をこの吉永小百合・天海祐希コンビでやったほうがよほど面白かったと思うのだが…。それが無理だと言うのであれば、小百合様ありきの映画なら、もっと設定こだわることができたと思うのだけれど。なんでこんな交通整理されないままの設定で進行したのかな、という疑問が残った。

映画『最高の人生の見つけ方』公式サイト|2019年10月11日(金)公開

タイトルとURLをコピーしました